松(マツ)とは
松はマツ科マツ属に属しており、松という名前の木は存在しなく次のアカマツ(赤松)、リュウキュウマツ(琉球松)、ゴヨウマツ(五葉松)、ハイマツ(這松)、クロマツ(黒松)、チョウセンゴヨウ(朝鮮五葉)の6種類を総称して松と呼んでいます。
松は常緑針葉樹で日本庭園ではかかせない樹木の一つです。また個人宅でも和風のお庭に植えられ、シンボルツリーや神木として長い間お庭で活躍されています。
庭のご神木になる松ですが、海岸沿いなどにも植えられ、海風を遮る強い味方になってくれています。他の樹木が海風に乗ってくる塩にやられると枯れてしまうところ、松は塩害にも強く、古くは江戸時代から一緒に暮らしてきました。ちなみに松の中でも黒松しか塩害に強くなく、他の松を植えても枯れてしまいます。このため、海岸沿いは黒松のマツ林が多いです。
この松の中でも庭木に松がある方に向けて赤松、黒松、五葉松について書いていこうと思います。
- 学名:Pinus
- 英名:Pine tree
- 科属:マツ科マツ属
- タイプ:常緑/針葉樹
- 樹形:幹立ち
- 樹高:20m~30m
- 開花期: 4月~6月
- 結実期:10月
松(マツ)の特徴
松は鱗模様の幹が特徴的で、松の木は丈夫で建築資材としても古くから赤松や黒松が使われてきました。2本が1組となっている二葉松の赤松や黒松、5本が1組となっている五葉松があり、海外には三葉松のテーダ松などがあります。
環境が合う所では1年で1メートル以上伸び、成長が早いです。成長が早いのに水や肥料などがあまり必要なく、上述していた通り、あまり、栄養が豊富でない海岸沿いの砂地でも育つほどです。
長寿の木としても名高く1000年生きる松もあるほどです。
松の樹形
松は種類により樹形が少し変わります。
赤松の樹形
赤松の若木は円錐型で、老木になると傘のような樹形になります。
黒松の樹形
黒松の若木から老木まで卵型の樹形になります。
五葉松の樹形
五葉松は何もお手入れを行わないと最終的に円錐型の樹形になります。
松の強度
松は幹は他の針葉樹に比べて非常に密度が高くしっかりしているのが特徴です。家の梁などに使われ、大工さんに親しまれています。
松ヤニについて
松が傷ついたときに出る松ヤニは工業用の油としても使用され多方面で活躍していますし、自身の傷口から病原菌が入りにくくする作用もあり万能です。
松の芽
松の春先に新しい芽を出します。この新芽が出始めた時は棒状になっているのが特徴で、他に樹木ではあまり見られない光景です。この棒状になったものを穂と呼んでいます。穂からまず花が咲き、咲き終わってから葉が出てきます。
松の穂
松の穂は成長すると葉が出てくる箇所になります。この穂が松のお手入れの中で一番行わなければいけない緑摘み、芽摘みと呼ばれるの対象になる部分です。
赤松の芽
赤松の芽は伸びる黄緑色になっていて細く、長く伸びるにつれ葉の出る箇所が先端に集まりやすくなっているのが特徴です。
黒松の芽
黒松の芽は伸びる濃い緑色になっていて太く、長く伸びても葉の出る箇所が全体的に葉が出てくるのが特徴です。
五葉松の芽
五葉松の芽はロウソク芽とコンペイトウ芽の2種類が出てきます。簡単に言うと長い芽と短い芽が出てきます。これは樹木の樹勢芽はロウソク芽とコンペイトウ芽の2種類が出てきます。簡単に言うと長い芽と短い芽が出てきます。これは樹木の樹勢が強い木は長い芽を出しやすく、弱い木は短い芽ばかりを出します。
五葉松は萌芽力が弱いので、黒松や赤松と同じように芽切りをすると、切った後から新芽が出なくなって、その枝は枯れてしまいます。
松の花
松にも花が咲きます。花は葉が出てくる前の穂から咲き、雄花と雌花の両方が同じ松に咲きます。
あまり知られていないかもしれませんが、松の花粉で花粉症になってしまう方もいるほど松の花粉は強いです。松の花について詳しい記事を書いていますので気になる方は下のボタンをクリックしてお読みください。
松の葉の特徴
松の葉は種類により特徴がが違います。
黒松の葉
黒松の葉は先端が鋭くとがっていてお手入れをするときは刺さっていたいです。
赤松の葉
赤松の葉は先端が黒松ほどとがっていなく比較的お手入れしやすいです。
五葉松の葉
五葉松の葉は先端が尖っているにも関わらず手で触ってもあまり痛くない
- 生育難易度:育てやすい
- 開花習性:習性利用無し
- 花色:雌花は赤紫色、雄花は茶色
- 実色:薄褐色と黄褐色
- 適地:日本全国
- 良く育つところ:日当たり
- 生長スピード:早い
- 害虫:松くい虫、シンクイムシ類、マツカレハ、ハバチ類、カイガラムシ
- 積雪:強い
- 乾寒風:強い
- 暑さ:強い、アカマツは弱い
- 潮風:強い、アカマツは弱い
松(マツ)の育て方
松の育て方について説明していきます。
松はここまで書いてきた通り、とても、とても丈夫な木です。この松の木は、しっかりお手入れをすると威厳があり、どこか優美で見応えのある庭木になります。
お庭の広さには制限があるので松は幹の外側へどんどん広がり大きくなるので、剪定はかかせないものになっています。
松(マツ)を植える場所
きちんと育てる為には十分なスペースを確保し、日当たりと水はけのよい場所で育てるのがポイントです。日が幹に十分に当たらないと、生育が衰え、葉の色が悪くなってしまいます。また植え付けてから2年間は、土が乾かないよう水を十分に与えてください。
松(マツ)の肥料
松の肥料は油かすを混ぜなら根と葉が元気になるチッソとカリの成分が少し多いものをあげていきます。油かすは土壌にある栄養素を植物に吸収しやすい形に整えます。
松の肥料の時期
松の肥料を与える時期は1月から2月と5月から8月です。上述した肥料を土を掘って土壌内に入れていきます。
松(マツ)に付く害虫
松に付く害虫で危険な虫は、松くい虫とマツカレハです。
松くい虫とは、松を枯らす原因となる「線虫類」を運ぶ虫のことを言い、マツノマダラカミキリ(体長3cm程度)という昆虫のことをさしています。マツノマダラカミキリの標準的な一生は約1年で終わります。 生態は次のとおりです。
松くい虫
松には害虫がたくさん付きますが、この中で最も危険なのが松くい虫です。松くい虫は線虫(マツノザイセンチュウ)で目には見えない程小さく、松の表面には出てきません。この虫にやられた場合、松を助けるすべはありません。また、この虫はカミキリという虫を媒介して他の松に移動します。
庭に被害があった場合は早期対処が必要で、きちんとした対処を行わなければ同じ庭木内の松に広がり、どんどん枯れてしまいます。
防除についてはカミキリの駆除、松くい虫が侵入してきた際の防虫薬品の注入があります。
松くい虫の防除薬品はグリンガードやショットワン・ツーの本剤を松に注入することにより、侵入した後の増殖を防ぎ松枯れを防止する剤です。
カミキリは5月から7月の頃に松から松に動き、この時期に他の松にマツノザイセンチュウが侵入します。
侵入を許した松は8月には一部や全体が枯れて死んでしまいます。
マツカレハ
マツカレハは発生する時期は成虫が年に1回7月から8月に現れます。幼虫は2回現れ、4~6月頃の春の時期と8~10月頃の夏から秋にかけてです。
マツカレハはマツの葉を食べます。成虫は卵を大量に産むので翌年や翌々年に大量発生し、葉が全てなくなってしまい枯れてしまいます。
マツカレハの防除は冬に松の幹にコモを巻き、隠れ家を作ります。隠れ家に避難をしたマツカレハを2月末ごろに一層して駆除する方法と、スミチオンや、カルホス乳剤を散布を4~6月、8月に散布しておき、葉を食べた幼虫が死んでしまうという防除方法があります。
駆除にはトレボン乳剤を使用すると効果的です。
植木を元気にする方法
上に書いてある育て方をしても松の木が元気にならない場合は、庭木の基本的な環境が整っていない可能性があります。詳しいことは元気にする方法ページに書いていますのでご興味ある方はお読みください。
松(マツ)の植栽(植えるとき)について
マツを植えるときは、根っこ付近をなるべく触れないことが肝心です。松の根には菌が共生しており、この菌がいなくなると松は弱ってしまいます。菌は触れることで死滅や根から離れてしまうことがあります。白い粉のようなものが根にあれば菌なので触れずに植えましょう。
松(マツ)を植える時期
マツを植える時期は12月から2月時期に植えましょう。
松(マツ)を植える時の注意点
マツは水を好むので土は湿りがちになりますが、水はけの良い土壌にしてあげ、植える環境はなるべく西日が当たらない箇所に植え、風通しが良い場所を選びます。
黒松は斜めに伸びやすいため支柱をしっかり行い倒れないようにしましょう。
松(マツ)の材料費
松を購入する時の材料費(販売価格)は、木の高さが1メートルまでなら3,000~10,000円程度。 木の高さが2メートルまでなら10,000~50,000円程度。3メートルまでなら50,000~100,000円程度が目安となります。
植木は季節もので、同じ形のものはありません。お値段の変動が激しいので植えたい方は必ず御見積後のご案内になります。
松(マツ)を植える料金
松の植える料金は木の高さが1メートルまでなら20,000円程度。 木の高さが2メートルまでなら3,0000円程度。3メートルなら40,000円程度が目安となります。
植木を枯らさずに植える方法はコチラ
上に書いてある植え方をしてもスダジイが元気なく枯れてしまうことがあります。基本的な植え方は下の青いボタンを押してお読みください。
松(マツ)の手入れ・剪定について
松の剪定は上級者向けと言われ、この理由は剪定をした後の枝や葉の伸び方、翌年伸びてくるはずの枝葉が出てこない、など景観に関しての悪影響になることが多いからです。枯れてしまうということは時期を間違えず、剪定の基本を覚えていれば、ほぼありえない強い樹木の一つです。その分剪定をすると枯れやすいサクラとは違った意味で剪定がしにくい樹木です。
松の手入れには緑摘み、もみあげ、枝抜き剪定、芽抜き剪定の4種類があります。
緑摘み
松の緑摘みは樹形を乱さないために行うお手入れで、4月から6月に行います。
緑摘みのやり方は春先に伸びた新芽の穂を手でむしり取る作業になります。一箇所から複数本の穂が伸びているので2~3本だけ残し、他の穂は根元から取ってしまいます。
残った穂は黒松は先端から半分くらいの箇所まで摘み取っても問題ありませんが、赤松と五葉松のは黒松と比べて樹勢が弱いのでは先端から半分満たない箇所で摘み取りましょう。
もみあげ
松のもみあげのやり方は古い葉を手で摘まみ取るお手入れで、10月から12月に行います。
風通しと日光が幹に当たらないと松は樹勢が衰えてしまうので、もみあげ作業は必須になります。
古い葉は長く、新芽から出た葉は古葉に比べて短めです。
枝抜き剪定
枝抜き剪定は基本の庭木の剪定と変わらず不要枝や樹形を乱す枝をを切っていくことになります。
基本の剪定については下記の剪定ページのついて記載していますのでお読みください。
この剪定は春から真夏を除いた時期に行えます。
芽抜きの剪定
冬場にもみあげを行うときに同時に行う作業ですが、余分な芽を減らす作業になります。
新芽を伸ばすのも栄養をたくさん使うので、ここで取り除くと栄養を保ったまま春を迎えることができます。芽を残すときは2つ以上残るようにしましょう。
松の葉剪定(葉刈り)
稀に松の葉を切っている方もいますが、葉を切ると葉先が茶色くなり見栄えも悪いですし、松自体の治癒作業で栄養を使うため松の葉はハサミで切らない方がいいです。
松(マツ)の剪定をするときの注意点
松を剪定する時の注意点は4つあります。
- 剪定する前は木の周りにシートなどで養生をする
- 枝抜き剪定は春から夏にかけては行わない
- 剪定は上から下に向かって行う
- 下方向に垂れている葉は取る
松の剪定する前は木の周りにシートなどで養生をする
松は掃除もです。落ちた葉っぱは取り切らない枯れてしまい、虫の隠れ家になってしまいます。ブルーシートなど敷いてから作業を行うと、作業後の掃除がとても楽になります。
春から夏にかけての松の枝抜き剪定
枝抜き剪定は見栄えだけを気にするのであれば行って良いですが、春から夏にかけて行うと切り口から松ヤニが出やすく害虫が集まってきます。松が枯れてしまう理由の一つですのでこの時期の枝抜き剪定は控えましょう。
剪定は上から下に向かって行う
松の葉はとにかく枝葉にひっかかりやすいです。
ですので剪定は上部から下部に向かって行い、ひっかかっている葉を落としながらお手入れしていくと2度手間3度手間にならなくて済みます。
下方向に垂れている葉は取る
次に絶対ではないですが、葉っぱが下方向に向いている松は汚く見えます。綺麗に仕上げるためには葉が上を向いているものだけを残してもみあげなどを行います。逆に下がっているのを残し、しなやかさ形を出している人もいます。
松(マツ)の剪定料金
松の剪定料金は木の高さが1メートルまでなら10.000円程度。 木の高さが2メートルまでなら25,000円程度。3メートルなら50,000円程度が目安となります。
松の伐採について
ここまで松について読んで頂いた方ならば、松の管理は大変だということがご理解いただけたと思います。
このような松の管理が難しく、手に負えなくなってしまい、どうしようもなく根元から切りたいということを頻繁にお聞きます。
松の伐採
松の伐採で大変なのが松の幹はとても硬く、松を切った後のゴミは思っているより量が多く、重たいです。
松の伐採料金
松は大きいもので30mほどの大きさのものを都内で見たことがあります。大小さまざまでとても重たい木ですので念入りな現地調査が必要になります。
目安として項目ごとに伐採にかかる料金をあげてみました。
作業項目 | 料金 |
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伐採費 | 30,000円~ |
松の木伐採のための重機費用 | 60,000円~200,000円 |
松の木の伐採後の処分費用 | 20,000円~100,000円 |
人件費(誘導員など) | 25,000円~ |
現地の状態を見て御見積を取るのが一番確実ですので伐採を検討されている方は信頼できそうな植木屋さんにご連絡してみてください。
【まとめ】松(マツ)を適切に育てましょう
松は放置をすると樹勢が弱ります。強剪定は行いにくく日々の管理も大変です。剪定時期を守り適切なお手入れ方法を行い、大切な松の木を育てていきましょう。ご自身で剪定する場合は安全に剪定を行い枯らさないようにお気を付けください。不安な方は一度ご相談ください。